2011年12月2日金曜日

【第4弾】気仙沼 仮設住宅 活動報告と全体の感想(11月20日)/木村研太さん

二日目の気仙沼では、ビタミン計画の単独行動でした。 ……えっ、宮城でお嫁さんを? 詳しくは、本文をお読み下さい(笑) なお、10月の同地での活動については、こちらでご確認頂けます。

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◎開催日と場所
・11月20日 気仙沼市本吉町外尾(そでお) *地元の方はこのあたり一帯を『小泉』と呼ぶので文中は小泉で統一している。

◎20日 日曜日
打って変わって良い天気。
暑いというわけではないが、日差しがややキツいくらい。

今日の小泉での活動は、バーベキューを一緒に作り食べながら、女川と同じく住民の方々と世間話をしながら栽培もの周辺の情報やニーズを探ること。

我々の到着とほぼ同じ頃合いに、みなさんが集まってきてくださった。
挨拶をし、準備開始。みんなが一斉に動いてくれる。
前回よりやや男性が多いようだ。
バーベキューのようなイベントは、男女に関係なく働けるのがいいところだ。
案の定、焼き係をしてくださった男性二人は最後まで、コンロのそばで頑張ってくれた。

今回、試みたことがいくつかある。
一つは名札。
無地のラベルシールに『呼んでほしい名前』を書き、服にペタリと貼るのである。
もちろん我々も含めて全員に貼ってもらった。お互いの名前と顔を親しみをもって覚えてもらうためだ。
前日の女川でも実施した。
実は同じ姓の方が、女川でも小泉でも多い。
なるべく下の名前で『◯◯ちゃん』風の呼び方とした。
中には、「おりゃ名無しのゴンベエでいいや」と言う人もいたので、『ゴンベエ』と書いてあげた。

もう一つは、包丁研ぎ。
結構傷んでるのでは?と思っていたので、研ぎ器と砥石を持って行った。
野菜を切るために包丁を持参していただいたので、切れの悪い包丁をその場で研いでいく。
わりと好評で、「他の包丁も家から持って来てよいか?」と言われたので、どんどん持ってきてもらうことに。
時間がちょっとかかりながらも、片っ端からやっつけた。

研ぎに夢中になっていたため気づかなかったが、野菜切りは奥様達によってすでに終わっていた。
「お茶っこにするべ」
みんなでちょっと一服。
お茶うけに、柿、浅漬け、タケノコの炒め物が、すでにテーブルの上に並んでいてびっくり。
奥様達の何人かが、家から持ってきてくれたものだ。
どれもしみじみ美味しい。

もう一つ用意しておいたものがあったのだが、最後まで忙し過ぎて全く出来ず終い。
それが何かは、敢えて書かない。次回のお楽しみとしておこう。

たっちゃんの手によって、炭火がすでに良い感じに熾きている。
前回に引き続き、たっちゃんにお手伝いに来てもらったので、ビタミンメンバーは4人だ。
たっちゃんは、宮城県の大和(たいわ)町在住の人で、現地コーディネーターのマサさんの友人である。
とても機転の利く人で、現場では何度も助けられている。

いよいよ焼きに入る。

さてここからは、表現が難しい。
美味いもの、美味い時間、を本気で文章で表すのは実に難しいと思うからだ。
香ばしい食材の香りを想像しながらでも読んでいただくしかない。

今回発見したのが、「ビタミン計画で提供させてもらっている野菜や肉は本当に美味しい」ということだった。
ビタミン計画のブログで紹介されている食材の写真を見て、以前から気になっていらっしゃった方は多いと思う。
くどいようだが、本当に美味しい。ヨイショじゃないよ、いやホント。(バーベキューソースも美味しかった)

それを裏付けるエピソードがあった。
焼き係をやってくれた方のお子さんが3人来ていたのだが、食材が焼ける間にキャベツをずっと生でポリポリとかじっているのである。
「甘くて美味しい」
自分も真似してみたが、確かに甘くて美味しい。ポリポリ。

盲点だった。
考えてみたらビタミン計画でどんな食材が提供されていたのか、自分は「知ってはいても知らなかった」のである。
こうやって一緒に同じものを同じ場所で食べることが出来る、というのは得難い機会だ。
食材そのものの有り難さ、良い食材を提供することの難しさを身を以て(文字通り)噛み締めることに。ポリポリ。


さていきなりの結論だが、バーベキューは成功で失敗だった。
住民の方達には、とても美味しいと喜んでもらえたし、楽しんでもらえた。
自分たちも、十分以上に味わい、楽しんだ。
ただ、バーベキューみたいな料理ものは、全員が忙しく働きだすので、ゆっくりおしゃべりなどしていられない。
焼いている時も、油断できない。焦げないように目を配り続ける。

食べている時は、女川と同様にネイティブスピーカーたる奥様達のめまぐるしく変化する話題に翻弄されまくる。
話題の変化がとてつもなく早いのである。
実はこうやって大勢が集まることは普段はまず無いとのこと。(という話はどうにか聞けた)
まさしく、溜まりに溜まった情報を一気に吐き出す感じだった。

「あんた、嫁さんいるの?」(超突然に)
「え、あ、いませんケド」(フツーにうろたえた)
「あんた、宮城の人になっちゃえばいいのにぃ」(何で?)
直後、もう別の話題にワープしている………という感じだ。

プランターのニーズについて聞くどころではない。

前回のレポートにも書いたが、集会所建設の話がどうにか進んでいるらしい。
完成が年内か年明けか不明だが、集会所さえ完成すれば、やれるイベントも余裕というか幅が出しやすい。
現状では、テントや椅子を複数個持ち込まないと、くつろいですらもらえない。(女川よりもご高齢の方が多いのである)
毎回、荷物の量に関しては頭がイタい。それを運ぶ車のこともだ。
こちらとしても切望してやまない、憧れの集会所、なのである。

嵐のように過ぎ去った数時間ではあったが、そろそろ片付けと撤収準備。
また、みんなが手伝ってくれる。
ここの人達は明るい、というかバイタリティがある。毎回本当に積極的なのだ。
それだけに、みなさんの被災時からの苦労を想像すると、胸が痛くなる。

お土産を配り終え、再会を約束して握手をし、小泉を後にした。

◎訪問を終えて
前回、野菜プランターだけに拘る必要はないという主旨のことを書いたが、図らずも今回はそういう方法を採らざるを得なかったというのが本当のところだ。
この寒さだと、野菜を新たに育てるのは難しいし、環境をろくに考慮しないで強引に何かを提供するのは良いことだとは思っていない。

とは言え、再会を約束した以上何かやらねばと思い、今回の訪問内容となった次第である。
「なぜバーベキューなの?」と言う人もいると思うが、前回小泉の住民のどなたかが「バーベキューやれたらいいね」という、その一言があったからである。
そして、やって良かったと思っている。
楽しんでもらえたことも勿論そうなのだが、やったことで自分が学んだことが確実にあったからだ。

今、東北はぐんぐん寒くなってきている。
ほぼ毎週東北に行っているが、一週ごとに気温が下がっていく感じだ。
(自分は東北の冬の寒さを知らないので想像するしかないのだが)この冬を半壊住居や仮設住宅(『みなし仮設』というものもある)で暮らすことを余儀なくされている人達がいることを、少しでも多くの人に気づいてもらいたいし、忘れずにいて欲しいと思っている。

そのためにも、この活動を続けていく。現地の状況や思いを綴っていく。
そしてビタミンのブログに掲載してもらい、記事の拡散を乞い続ける。

絶えずバトンを繰り出し、次の人にパスし続ける。

今はそう考えるようにしている。
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